" &image=ctgic; &style=stDetail1;2014/01/29 読み物&style;&br; &style=stDetail2;〜流されて、ヴァレンティオン〜&style;&br; &br; 今日はハッピー・ヴァレンティオン!&br;明日もハッピー・ヴァレンティオン!&br;明後日もハッピー・ハッピー・ヴァレンティオン!&br;&br;チョコがもらえるその日まで〜クポ!&br;&br;というわけで、その日がやってまいりましたクポ。&br;&br;大切なあのひとへ、贈り物をして想いを深めるクポよ〜。&br;ヴァレンティオン・デーは、今だけ。&br;年に一度のチャンスですクポ!&br;&br;とはいえ、なかなか渡せないとか。&br;もらえないとか。&br;ドキドキ・ハラハラすることも多いって聞きましたクポ。&br;&br;モーグリは、そんな冒険者のみなさまを全力で応援させていただきますクポ!&br;&br;大切なのは勇気クポ。&br;勇気を出して、レッツ・ゴー・ヴァレンティオン・デー!&br;チョコの宅配はモーグリ便にお任せを!&br;&br;だから、みなさま。&br;たまにはモーグリたちもご主人さまからチョコが欲し……。&br;&br;コホン。&br;な、なんでもないクポ! ちょっと本音がダダ漏れただけクポ。&br;&br;では、良きヴァレンティオン・デーを!&br;&br; それは豆だった。&br;ローレリリは、白衣のポケットに両手を突っ込んだまま、&br;テーブルの上のククル豆を凝視した。&br;&br;「なぜ、こんなものが?」&br;&br;そのククル豆は、濡れないよう革の袋に入っていた。&br;袋に入ったまま流れ着いたのだ、ローレリリのモグガーデンに。&br;&br;ククル豆の革袋は4つ。1日に1つの割合で、このところ浜辺に打ち上げられてくる。&br;&br;ガーデンの世話をしてる子ミスラのクイン・ハスデンナが尋ねてくる。&br;「どうしましたにゃ?」&br;「あなた、これ……なにか覚えがある?」&br;「し、知らないにゃ!」&br;雷光の早さで目を逸らされた。&br;……あやしい。&br;&br;「あなたは?」&br;ローレリリはテーブルの隣でくるくる回っているモーグリに問いかけた。&br;「なにクポ?」&br;「うちの庭にククル豆が運ばれてくる理由に何か思い当たる節があるかって聞いてんの」&br;「ガーデンには珍しいものが流れてくるものクポ!」&br;「……ま、そうなんだけどさ」&br;&br;神聖アドゥリン都市同盟は大小無数の島々からなる国家だ。&br;といっても、小さいほうの島は、ほとんどが無人島であって名前もない。&br;それらの島々を、開拓者としてやってきた冒険者たちに解放した。&br;ウィンダス出身のローレリリが、このモグガーデンにやってきたのは、夏の終わりの頃だった。&br;それから半年。ローレリリは、ここに籠もって研究を続けている。&br;&br;「ん?」&br;リンクパールに着信があった。&br;「……なんだ、あなたか、ハッチャモッチャ」&br;「幼馴染みに対して、その言い方はないだろ。約束今日だったよね!」&br;「あー……」&br;&br;しかたなくローレリリは西アドゥリンへと戻る。&br;港まで、ハッチャモッチャがやってきていた。&br;&br;「お待たせ。でも、ほんとに来るの?」&br;「ようやくキミが招待してくれたからね。&br;まったく『散らかってるからまたね』って言われつづけて何か月待ったと思ってるんだ」&br;「ハチモったらシツコイんですもの」&br;「それが長年の幼馴染みに言う台詞か! キミ、この前の僕の誕生日も忘れてたよね? 薄情すぎる……あと、僕の名前はハッチャモッチャだ」&br;「わかってるわよ、ハチモ。&br;でも、長すぎて面倒くさいのよ、ハチモ」&br;「それ、わかっててやってるだろ……。だいたいさあ!」&br;&br;幼馴染みのお小言を両手を耳に当てて聞こえなくする。&br;ぜえぜえと息を荒げたハッチャモッチャが、がくりと肩を落とした。&br;「キミってやつは……」&br;「だってぇ、念願の自分専用の研究室を手に入れたのよ。&br;島ひとつを自分の好きにできるなんて、なんて素敵。&br;これで、ようやく心ゆくまで実験できる。&br;もうガーデンから出たくないくらい」&br;「ホントに出てこなくなって、何日会えなかったことか!」&br;「いま新しい錬金のレシピを開発中なのよ。&br;だから、あなたの相手をしてるヒマはないの、ハチモ」&br;&br;言い合いながらも、ふたりしてモーグリの小舟に乗り込む。&br;憤慨していたハッチャモッチャが冷静になる前にモグガーデンに着いた。&br;&br;「へえ。ちゃんと綺麗にしてるじゃないか」&br;「いらっしゃいませ、ハッチャモッチャさま!」&br;アシスタントの子ミスラが頭を下げた。&br;「あ、ども」&br;「あれ? ……あたし、あなたにコイツの名前、教えたっけ?」&br;子ミスラはこくんと頷く。&br;「前にちゃんと聞きましたにゃ」&br;「そうだっけ。まあいいか」&br;「なあ、ローレリリ。&br;せっかく来たんだからお茶の一杯くらいは淹れてくれてもいいんじゃないかな?」&br;「お茶飲みにきたわけ?」&br;「ちがうよ! そうじゃなくて僕は……」&br;「はっ。さては、あたしの研究を盗みにきたのね!」&br;「絶対ちがう! 僕はキミのあやしげで微妙な錬金術なんて興味ない!」&br;&br;「じゃ、なにしにきたのよ?」&br;「だから、話にきただけだってば。そうそう、近頃なにか変わったことは?」&br;「ないわね」&br;「え……そんなはずないだろ」&br;「ないわよ。ないったらないわ。研究は順調そのものよ。もうじきあたしをガッカイから追放したやつらを見返してやれるわ!」&br;「なんだい、そのガッカイてのは?」&br;「さあ? でもなんか、こーゆーとき、そー叫ぶものらしいわ。前に、トリビューンで読んだの。カッコいいんだって」&br;「そういうもんか? ええと、だから、研究の話じゃなくて」&br;「別に平穏そのものよ?」&br;「そ、そう? そうか」&br;それきり会話が途絶えてしまった。&br;またくるからと言いおいて、ハッチャモッチャは西アドゥリンへと戻った。&br;&br;その日はそれで終わり、ククル豆の新しい袋も流れ着いてこなかった。&br;だが、翌日からまた妙なものが採れるようになったのだ。&image=im00;&br; &image=hr03;&br; メープルシュガー。&br;羊皮紙。&br;スカーレットリボン。&br;&br;テーブルの上に並べて、ローレリリは胸の前で腕を組んだ。&br;「これは何か変だわ」&br;ローレリリの脳の、計算機のように冷静な部分がぐるぐると回転していた。&br;一見すると、共通点のない単なる漂流物に見える。&br;だが、そこには何か見えない糸が通してあって、たぐれば正解に辿りつける気がした。&br;&br;「もしかしてこれって。あと、『あれ』があれば……あれかしら?」&br;天啓が降ってきて、手帳でカレンダーを確認する。&br;「あたしがここに来てから半年だから、今日は2月の……」&br;ローレリリの頭に正解が閃いた。&br;「あれあれ? ひょっとして……」&br;&br;その夜、ローレリリは大陸へ帰るふりをして木立に隠れていた。&br;しばらく待つと、子ミスラがやってきて浜辺に何かをそっと置いていった。&br;拾いあげてみると、瓶に詰めた『セルビナミルク』だ。&br;「やっぱり!」&br;流れ着いたのではなかった。こうやって毎夜わざわざ置いていたのだ。&br;「はあ。こんなことをあの子に頼んだのはあいつね。&br;あたしが気づかなかったら、どーするつもりだったのかしら……」&br;ローレリリはため息をついた。&br;&br;次の日、ローレリリはハッチャモッチャを再度モグガーデンに招待した。&br;「やあやあ。今日はお招きいただいてありがとう。&br;で、なにかな? 見せたいものがあるって話だったけど」&br;妙にうきうきしたようすでハッチャモッチャがやってきた。&br;「これ見て」&br;浜辺に置いたテーブルの上を指さす。&br;そこには、ククル豆4袋、メープルシュガー、羊皮紙、スカーレットリボン、&br;最後に届いたセルビナミルクが置いてある。&br;「……え? なんでそのまま──っと、いやなんでもない」&br;「浜辺に流れ着いたやつなんだけどさ。不思議なことにチョコを作るのにぴったりの素材なのよね。まるでおまえが作れって言わんばかりでさぁ」&br;「そ、そうなんだ。へえ、こんなものが浜辺にねえ」&br;「でも、知ってた? あたし、調理ってやったことないの」&br;「へ?」&br;「たしか、あなたは調理学校に通ってたわよね。はい、これ!」&br;「えっ?」&br;「このままじゃ、ミルク腐っちゃうし。もったいないでしょ」&br;「ぼ、僕が作るの?」&br;「ほらほら! そうそう、大切で特別な品を作るときに使うクリスタルがあるでしょう? 最後はぜひ、それを使ったらいいと思うのよね!」&br;「え〜〜〜!?」&br;&br;ハッチャモッチャの手で、見事に高品質のハートチョコができあがった。&br;&br;「さあ。次はこれで!」&br;羊皮紙とスカーレットリボンを渡した。&br;「包めばいいのかい?」&br;「そうよ。あなた、手先も器用じゃないの、ハチモ」&br;「うう、わかったよ……」&br;&br;丁寧にラッピングされ、ハートチョコは銘入りのラブラブチョコになった。&br;「こ、これでいいの?」&br;「ご苦労さま!」&br;「ねえ。それ、どうするのか聞いてもいいかな?」&br;おそるおそる言ってくる。&br;にんまりとローレリリは笑みを浮かべた。&br;「欲しい?」&br;「え?」&br;「今日は、あの日でしょ。ヴァレンティオン・デー」&br;「欲しいかって。そもそも、僕が作ったやつだよね、それ!」&br;「いらないなら、日ごろからお世話になってるクインちゃんかモーグリにあげちゃおうかなー」&br;「うわあ! ちょ、ちょっと待って! いる。欲しいよ!」&br;「じゃあ、はい。感謝しなさいよ。手作りなんだから」&br;「だから作ったの僕だよね!?」&br;ちょっと涙ぐんでいるのを見て、さすがにやり過ぎたかと舌を出す。&br;&br;「だって、あたしが作ると、『ちょっと強くなった気がする……かもしれない甘い飲み物』とかになるけど。そっちのほうがよかった?」&br;「それほんとに飲んでも大丈夫なものなの!?」&br;「だから、チョコをあげるって言ってるの」&br;「うう、まさか、自分の名前入りの自分で作ったチョコを自分がもらうことになるなんて思わなかったよ……」&br;「クインちゃんまで巻き込んでまわりくどいことするからよ」&br;「うぐ」&br;「ほら。涙をふいて。チョコはむりだけど、お茶なら淹れてあげるからさ。ちょっと早いけど、おやつにしましょ」&br;&br;アルコールランプに火を灯し、&br;ビーカーの中で沸騰させた水を使ってカモミールティーを淹れた。&br;&br;調理の知識の欠片もないことがバレバレの微妙な淹れ方に渋い顔をするハッチャモッチャだったけれど、&br;それでも、&br;西の海の彼方にゆっくりと沈んでゆく夕日を見ながら一緒に飲んだお茶を美味しいと言って喜んでくれた。&br;&br;単純だなあと思いながらも、&br;ローレリリは、次のハッチャモッチャの誕生日は忘れないでいてやろうと思うのだった。&image=im00;&br; &image=im00;&image=11622_2.png; Story : Miyabi Hasegawa&br;Illustration : Mitsuhiro Arita&image=im00;&br; &image=hr02;&br; &li=ng01;開催期間&li;&br; 2014年2月6日(木)17:00頃〜2月17日(月)17:00頃&image=im00;&br; &image=hr03;&br; &li=ng01;チョコボの恋人探しを手伝おう&li;&br; イベント期間中、以下の場所にいるNPCに話しかけるとミニゲームに挑戦できます。&image=im00;&br; &image=im00;&image=11622_10.png; ・Niscoliette:南サンドリア(I-11)&br;・Prycillia:バストゥーク鉱山区(J-9)&br;・Chabobo:ウィンダス森の区(K-12)&image=im00;&br; &image=hr03;&br; &image=im00;&image=11622_12.png; ミニゲームをクリアすると調度品「テンダーブーケ」をはじめ、さまざまなアイテムが手に入ります。&image=im00;&br; &image=hr03;&br; &li=ng01;これまでの報酬アイテムについて&li;&br; &image=im00;&image=11622_15.png; 入手方法:Moogle&br;・南サンドリア(J-9)&br;・北サンドリア(D-8)&br;・バストゥーク鉱山区(I-9)&br;・バストゥーク商業区(G-8)&br;・ウィンダス水の区(北側F-5)&br;・ウィンダス森の区(K-10)&image=im00;&br; "