" &image=ctgic; &style=stDetail1;2006/12/25 読み物&style;&br; &style=stDetail2;「星芒祭」 -トレント騒動の顛末-&style;&br; &br; 楽しかった「星芒祭」も、もうすぐ終わりを迎えようとしています。&br;未体験の冒険者のみなさんは、ぜひ故郷の街に帰ってください。&br;まだ、きっと間に合いますよ。&br;――それはそうと、街中を騒がせていたトレントは、その後どうなったのでしょう。&br;ちょっと気になりませんか?&br;&br;※星芒祭は、12月31日(日)24:00に終了を予定しています。&br;&br; 今宵も、3国の街は星芒祭で賑わっています。&br;街路にはまばゆい光があふれていますが、そこから少し離れたところで夜空を見上げれば、幾千もの小さな星たちがささやかな光を瞬かせていることに気づくことでしょう。&br;それは、この聖なる祭典に集うわたしたちが、星たちから祝福されている証なのです。&br;&br;――え? そんなことより、例のトレント騒動のその後が気になる?&br;&br;その件でしたら、だいじょうぶ。冒険者の皆さんの活躍により、騒動は収まりつつあります。&br;もちろん、あのトレントの素性もわかりました。&br;その正体は……、なんと行方不明のメインツリーだったのです!&br;&br;それにしてもなぜ、各国ご自慢の美しいツリーが、恐ろしいトレントになったりしたのでしょう?&br;&br;この星芒祭で、3国の街を訪れていた皆さんなら、もうおわかりですよね。&br;すべては街の広場でみなさんに応援を求めていた、あのモーグリたち(実は3兄弟!)のしわざだったのです。&br;&br;彼らは海の向こうの大陸から渡ってきたノマドモーグリ。一族ともども住み慣れた山岳地帯を離れ、長旅の末に聖都ウィンダスにたどり着いたときは、ちょうど前回の星芒祭の真っ最中でした。&image=im00;&br; &image=im00;&image=1182_0.png; 街路を彩るイルミネーション、楽しげに歩く親子や恋人、そして人びとの注目を一身に集める、煌びやかなメインツリー……。&br;モーグリたちは、はじめて目にする盛大な祭典の光景に、細い目をもっと細めました。&br;苦しい旅を続けてきた彼らには、色とりどりの光の装飾も、人びとの幸せそうな笑顔も、少しばかり眩しすぎたのです。&br;&br;なんだか居たたまらなくなって街を去ろうとしていたモーグリたちをとどめたのは、ひとりの青年がかけた声でした。&br;&br;「メリースターライト!」&br;&br;その人は赤い帽子に赤い服。肩には大きな袋をかついでいました。スマイルブリンガーです。&br;&br;「あなたたちに星の導きがありますように」&br;&br;彼はにっこり笑ってそう言うと、美しいリボンで飾られた包みをモーグリたちにひとつずつ手渡してくれました。&br;そう……、それは生まれてはじめて手にする星芒祭のプレゼントでした。&br;この思わぬ出来事で、ノマドモーグリたちはすっかり星芒祭の虜になってしまいました。特に一族の中で、もっとも若く好奇心旺盛な3兄弟の喜びようは大変なもの。&br;&br;「か、感激クポ……プレゼント、うれしいクポ……」&br;「スマイルブリンガーさん、とっても、とってもすてきクポ……」&br;「モーグリも、赤い帽子をかぶって、みんなに幸せを配りたいクポ……!」&br;&br;そしてその喜びは、やがてスマイルブリンガーに対する憧れへと変わっていったのです。&br;それが、すべてのはじまりでした……。&br;&br;それから月日は巡り、子どもたちが次の星芒祭がやってくる日を指折り数えはじめた、ある晩のこと。&br;モーグリの3兄弟は、スマイルブリンガーになる夢を実現するため、ある奇想天外な計画を実行に移しました。&br;はたして、その計画とは――。&br;&br;まず彼らは、ウィンダスの鼻の院から“品種改悪”されたトレントの若木を3株持ち出すと、各都市で飾りつけが進んでいるメインツリーに、それぞれ接ぎ木していきました。&image=im00;&br; &image=im00;&image=1182_1.png; するとどうでしょう。やがて、ツリーの幹には人面が浮かび上がり、その枝や根は手足と化しました。&br;まさしく、即席トレントの誕生です!&br;トレントは、足と化した根を土から引き抜くと、地響きを立てて広場を歩きはじめました。街が大混乱に陥ったのは、言うまでもありません。&br;&br;そして数日後、その混乱も収まらぬうちに、街は星芒祭の開催日を迎えてしまいました。&br;それを待ち構えていたモーグリの3兄弟は、騒動のどさくさに紛れてスマイルブリンガーに変身。意気揚々とプレゼントを配りはじめたのです。&br;&br;こうして、すべては計画どおりに運び、3兄弟の夢も叶い――いいえ、うまくやったつもりの彼らも、ひとつだけ見落としているものがありました。&br;&br;それは、樹木が備える自然の復元力。&br;トレントの中でツリー本来の力が回復すると、移植された若木に対する拒絶反応が起こり、元のメインツリーの姿に戻ってしまうのです。&br;3兄弟は、内心では焦っているはずです。トレントが皆の注目をずっと引きつけていなければ、偽スマイルブリンガーの正体など、あっという間に見抜かれてしまうはずですから。&br;&br;その証拠に、いまも多くの冒険者が偽スマイルブリンガーを捜しています。&br;3兄弟は、まだなにも知りませんが、事の真相に気づきはじめた本物のスマイルブリンガーたちが、人騒がせな犯人をつかまえて罰を与えようとしているのです。&br;遠い国の都や辺境の集落に暮らす人びとにプレゼントをあまねく配るという、たいそう厳しい罰を……。&image=im00;&br; &image=im00;&image=1182_2.png; これを耳にした仲間のノマドモーグリたちは、同族の若者のしでかしたことに責任を感じてしまったのか、スマイルブリンガーに申し出て、ひと足先にプレゼントの配達をはじめたようです。&br;もしかすると、そのうち皆さんの家にも、ノマドモーグリがプレゼントを届けに来るかもしれません。&br;&br;それにしても、ノマドモーグリたちの嬉しそうな顔といったら……!&br;あんなにキラキラした笑顔を見たら、きっと3兄弟も計画を断念し、自分たちも罰を受けたいと申し出てくることでしょう。&br;そうすれば、彼らの夢も思わぬ形で叶うことになるのかもしれませんね。&br;&br;さて、いつになく賑やかだった今回の星芒祭も、間もなく終わりを迎えようとしています。&br;&br;天上の星たちに、あなたはどんな願いをかけましたか?&image=im00;&br; &image=im00;&image=1182_3.png; Illustration by Mitsuhiro Arita&image=im00;&br; "