" &image=ctgic; &style=stDetail1;2011/02/09 読み物&style;&br; &style=stDetail2;舞い落ちる花びらのように&style;&br; &br; 年に一度の女の子のためのお祭り、東方由来のひなまつりも、すっかりヴァナ・ディールに定着したようす。&br;&br;ウィンダスの桜の木の下でも、冒険者の乙女たちが集まって、ひなまつりを祝い、お茶会を開いているようです。&br;咲き誇る薄紅の花びらを愛でながら、ゆっくりとお茶をいただく。&br;なんとも優雅ですね。&br;&br;もっとも、彼女たちの関心は、どちらかと言えば、花より団子だったようで……。&br;&br; &image=hr02;&br; ウィンダスの一本の桜の木の下。&br;同じリンクシェルに所属する4人の少女が集まった。&br;草を編んで作られた東方の絨毯を敷いて、車座になって座っている。&br;&br;「はい。お茶ですよ」&br;&br;温めた茶を入れた金属製の水筒をヒュームの娘クレナイが傾けた。&br;エルヴァーンの娘マディラーヌが差し出したカップにお茶を注いでもらいながら言う。&br;&br;「良い、天気になったね」&br;「お茶日和だにゃ」&br;&br;ミスラの娘シェ・ティラが言って、クレナイがはてなと首を傾げた。&br;&br;「あら。お茶日和なんてあるんですか?」&br;「なんでもいいさ。美味しいお茶とお菓子をいただけるなら」&br;「そうそう! われら、ヴァナ・ディール甘味党としては、そこが大事!」&br;&br;タルタル娘のチョココが言って、残りの3人が異議を唱える。&br;&br;「その名前はちょっと」&br;「ストレートすぎるね。趣きがないよ」&br;「かわいくないにゃ!」&br;「わかりやすいのに……ま、なんでもいっか」&br;&br;甘いモノが大好きな4人であることに変わりはないのだ。&br;お茶が行き渡ると、彼女たちは恒例の発表会を始めることにした。&br;&br;「では、各自が出会った季節一番のお菓子の発表です!」&br;&br;クレナイが差し出したのは、薄いピンク色をしたゼリーだった。&br;&br;「チェリーババロアですよ。美味しいだけじゃなくて、季節柄ぴったりだと思って」&br;「季節柄……なるほど、これは高品質品の『サクラ物語』か!」&br;「美味しいーっ。つめたーい。喉をつるっとすべり落ちてくー。しあわせー」&br;「チョココ、こら、ひとりで食べるなっ」&br;&br;謹厳実直な騎士で知られるマディラーヌは、タルタル娘がひとりでスプーンですくって食べるのをたしなめた。&br;こほんとひとつ咳払いしてから、今度は自分の見つけたお菓子を披露する。&br;&br;「わたしは『キトロマカロン』を持ってきた」&br;「おいしいそうなのにゃ!」&br;「だから、ひとりで持ってくなと言ってるだろーが! 人数ぶんあるから!」&br;「あら、でも、ほんとに美味しいです。ちょっと酸味があって、甘すぎなくて」&br;「マカロンは職人の好むお菓子として知られているからな。わたしたち食べる専門の者には意外と馴染みが薄いはずだ」&br;&br;こういうときばかりは饒舌になるマディラーヌは、滔々とまくしたてた。&br;&br;「キトロンを入れたマカロンは、すっきりとしてて美味い! これは意外な発見だったぞ」&br;「甘すぎないお菓子って、マディラーヌさんらしいです」&br;「そ、そうか?」&br;「そこ、照れるところとちがうにゃ」&br;「う、うるさい!」&image=im00;&br; 頬を染める騎士娘をからかいながら、シェ・ティラが紙製の箱に入れた菓子を見せる。&br;&br;「ミルフィーユの中でも特においしくできた『谷間の姫百合』にゃ。崩れないように持ってくるのに苦労したのにゃ」&br;「まあ。とってもきれいなお菓子」&br;「へー。よく手に入れたわねー」&br;「えへん、にゃ!」&br;&br;幾枚もの薄いパイ生地を重ねて作られたミルフィーユは、『星の大樹の葉を現している』とされている。ウィンダス様式のケーキだ。繊細なお菓子だった。&br;&br;「身近なところにも埋もれた名作があるにゃ。あたしの季節のお勧めですにゃ」&br;「ミルフィーユってさー、最後まで壊さずに食べられたことないんだよねー」&br;「ですね」&br;「シェ! ほら、膝の上に欠片が散ってるぞ! 君はいつもあせって食べるから」&br;&br;お茶を何度もお代わりしつつ、お菓子をおなかに入れてしまうと、ミルフィーユを食べ尽くす頃には、甘いモノ大好きな少女たちの勢いもさすがに落ちてくる。&br;&br;「最後はこのチョココのお勧め。ま、あたしとしてはこれが1番かなって思うよ」&br;&br;とっておきだと言わんばかりの台詞に他の3人が身を乗りだす。&br;&br;「何でしょう? 楽しみです」&br;&br;包んでいた布をほどいて中のお菓子を見せると、みなの間に微妙な空気が流れた。&br;&br;「これって……」&br;「タルトだな」&br;「前回と同じにゃ」&br;「ちがうって! 冬に持ってきたのは、たんなるパママのタルト。これは、『オポオポのタルト』。あまりに良い香りに誘われてオポオポも寄ってくるって言われてるやつなの!」&br;「同じにゃ」&br;「素材は同じでも、仕上げがちがうんだよー!」&br;「いくら君が吟遊詩人で王冠をかぶって冒険しているからって、毎回毎回パママのタルトというのはどうかと思うが」&br;「お、美味しいんだから。美味しいからいいの!」&br;「でも、すっごく甘いですよね。最後にこれって……」&br;「食べてよー。お茶で流し込めばだいじょうぶだって! まだいけるって!」&br;&br;じとっと3人から見つめられ、チョココは涙目だ。&br;&br;「そろそろー、お茶も冷めてきちゃった……にゃ!」&br;&br;ひらひらと舞い落ちてきた花びらの1枚が、偶然にもシェのカップの中に落ちた。&br;&br;「サクラ入りのお茶〜。えんぎがいいのにゃ」&br;「縁起、って、そんな言い伝え、ありましたっけ?」&br;「ないと思うが。少なくともわたしは聞いたことがない」&br;「あ、縁起っていえばさ、ほら、幸運の兎を追いかけたときにさー。聞いた話なんだけど……」&br;&br;話題が移り変わったのに合わせるかのように、4人の手がタルトに自然に伸びている。&br;お茶とお菓子を交互に口に運びながら会話が続いていった。&br;&br;舞い落ちる桜の花びらのように、少女たちの話はくるくると巡ってどこに落ちるのか誰も知らない。&br;うららかな春の午後の一幕だった。&image=im00;&br; &image=im00;&image=6223_2.png; Story : Miyabi Hasegawa&br;Illustration : Mitsuhiro Arita&image=im00;&br; &image=hr02;&br; &li=ng01;開催期間&li;&br; 2011年2月17日(木) 17:00頃から3月3日(木) 17:00頃までを予定しています。&image=im00;&br; &li=ng01;モーグリの出現場所と飾り付け&li;&br; イベント期間中、以下のエリアにモーグリが出現します。&br;&br;・南サンドリア(J-9) &br;・北サンドリア(D-8) &br;・バストゥーク鉱山区(I-9) &br;・バストゥーク商業区(G-8) &br;・ウィンダス水の区(北側F-5) &br;・ウィンダス森の区(K-10) &br;&br;モーグリに話しかけると、ひなまつりにちなんだアイテムを受け取ることができます。&image=im00;&br; &image=im00;&image=6223_8.png; また、それぞれのエリアには、「ひな壇」が飾り付けられる予定です。&image=im00;&br; "