" &image=ctgic; &style=stDetail1;2012/01/01 お知らせ&style;&br; &style=stDetail2;謹賀新年！&style;&br; &br; あけましておめでとうございますクポ！&br;今年も、冒険者のみなさまの元に楽しいことがいっぱい訪れるよう祈っておりますクポ！&br;&br;そういえば、知っているクポ？&br;東方の暦では今年の年神は竜。&br;&br;この機会に竜たちが姿を見せるという噂が広まっているクポ。&br;&br;彼らの登場は、あの偉大な竜が眷族に働きかけたため、という噂もあって……。&br;&br; &image=hr02;&br; 謹んで新春の御祝詞を申し上げます。&br;&br;冒険者のみなさまの多大なる御尽力を賜り、&br;ヴァナ・ディールは10周年という大きな節目の年を迎えることができました。&br;&br;開発・運営一同、厚く御礼申し上げます。&image=im00;&br; &image=im00;&image=7746_1.png; Illustration : Mitsuhiro Arita&image=im00;&br; &image=hr02;&br; &li=ng01;夜明けの竜たち&li;&br; 年末。南グスタベルグに粉雪が舞った夜。&br;『蒸気の羊亭』であたしたち二人を待っていたのはエルヴァーン族の美女だった。&br;額から左の目にかけて獣の爪で裂かれたような傷があった。ただ、そんな傷程度では美しさは些かも損ねられていない。&br;普段は女性の美などに無関心のアイアン・ハンマーさえ、うっかり見蕩れていたほどだ。&br;&br;肘打ちひとつ。&br;「あ、ああ、なんだ？　リズ」&br;なんだ、じゃないわよ。まったく。&br;&br;主人のヒルダから、彼女は歴史学者なのだと紹介された。&br;「ヴァリエーヌです、よろしく」&br;「あたしはリズ。こっちのガルカはアイアン・ハンマー。それで、依頼の内容を確認したいんですけど。竜を探している、とか？」&br;ぶっきらぼうな言い方になってしまったが、依頼そのものには興味があった。&br;&br;「はい。ご存知かどうか分かりませんが、東方の暦によると来年の年神は竜なのです」&br;「年神……。あの、年が明けると五穀豊穣を祈念するために各々の家にやってくるという獣のことですか？　確か、東方の古い慣わし、とか」&br;そう答えると、あたしが知っていたことにヴァリエーヌは意外そうな顔をしてから、にっこりと笑みを浮かべて「そうです」と頷いた。&br;&br;けど、答えられて当然、という気もする。&br;ここ十年ばかり、年が明けると、年神だという獣が荒野を走り回っているのだ。&br;それはたまたま現れた珍しい獣であることもあれば、ウィンダスの連中がわざわざ用意した改良品種であったりもする。&br;&br;「わたしの長年の研究によれば──竜たちはまだ生き残っています」&br;ヴァリエーヌが夢見る瞳をして言った。&br;今は廃れた信仰とはいえ、エルヴァーン族には未だ竜を崇める人たちがいると聞く。どうやらヴァリエーヌもその一人のようだ。&br;&br;「行く人も途絶えた聖山グロウベルグの洞窟には、今も偉大なる竜がこの世界の行く末を見守っている……とわたしは信じています」&br;「はあ。なるほど」&br;「彼ら竜たちは、自分たちが崇められていた時代を忘れていません。わたしは、彼らが、この機会に集まって人間たちの前に姿を現すのではないか、と考えています」&br;ヴァリエーヌの言葉を聞いても、頭の中に鉄が詰まっているアイアン・ハンマーは首を傾げるばかりだった。&br;「どういうことだ、リズ？」&br;「だから──年神信仰に乗っかって、竜たちが自ら年神の役割を演じるだろうって言ってるのよ。神様役をやってくれるってわけ」&br;「ほう？」&br;だめだ、分かってない。まあいいや。いつものことだ。&br;「役ではありません。彼らは神なのですから」&br;「あ、はあ。……どうも」&br;「わたしは自らの研究を進めるためにも、ぜひ彼らに出会いたいと思っているのです」&br;ようするに護衛の依頼か。どこかで似たような任務を聞いたことがあるな。思いつつも、あたしたちはヴァリエーヌの頼みを引き受けた。&image=im00;&br; それが昨年の末のこと。&br;「リズ、夜明けだ」&br;アイアン・ハンマーの声で我に返る。&br;太い指が示すほうへと顔を向けると、東の彼方に今年最初の日が昇るところだった。&br;あたしは傍らのエルヴァーンへと振り返る。&br;「大丈夫ですか？　どこか怪我は？」&br;「どこも。みなさん、お強いですね」&br;と笑みを浮かべた。&br;あたしたち三人の足下には、絡んできたクゥダフたちが倒れている。&br;&br;夜明けの光を背中に浴びつつ、あたしたちはグスタベルグの荒地を進む。&br;初めに目に入ったのは、朝日とは異なる小さな輝きだった。&br;数十歩ほど先の大地の上、視線ほどの高さを、すうっと光る珠が近づいてくる。&br;&br;「あれは宝珠。竜の思念により生成されているものです！」&br;なんでそんなことを知っているのか。&br;疑問に思ったのは、実のところもう少し後のことだった。&br;それどころではなかったのは宝珠に続いて竜たちが姿を現したからだ。&br;&br;小柄ではあったが、それは間違いなく竜だった。&br;朝の光の中、鱗を煌かせ、列を成して練り歩いている。&br;&br;あたしもアイアン・ハンマーも声もなく立ち尽くす。&br;竜の、群れ。&br;もしも彼らが怒り狂って炎や毒の息吹を吹きかけてきたら、あたしたちは為す術もなく倒されてしまうことだろう。&br;&br;光る珠はますます近づいてくる。&br;背中がぞくりと冷たくなる。あたしは焦った。&br;逃げて、と掠れた声をあげてヴァリエーヌへと振り返った。&br;いない。&br;姿が消えていた。&br;&br;「リズ、見ろ」&br;相棒の声に向き直る。&br;間近に迫っていた光る珠が、向きを変えて遠ざかりつつあった。&br;竜たちもそれに倣う。&br;遠ざかって、ゆく。&br;ほっとして力が抜け、膝が砕けて、尻餅をついたあたしの頭の中で声が響いた。&br;『グスタベルグは初めてだから助かったわ』&br;&br;響く言葉は音にはならなかったけれど、聞き覚えのある声で。&br;一番後ろにいつの間にか増えていた一体の竜があたしたちのほうへと振り返った。&br;その竜には、額から左の瞳にかけて獣の爪で裂かれたような傷があった。&br;&br;『ありがとう』&br;&br;龍が微笑んだ気がした。&image=im00;&br; Story : Miyabi Hasegawa&image=im00;&br; &image=hr03;&br; &li=ng01;開催期間&li;&br; 本イベントは2012年1月1日(日)0:00頃より、1月16日(月)17:00頃までを予定しています。&image=im00;&br; "