" &image=ctgic; &style=stDetail1;2013/01/01 お知らせ&style;&br; &style=stDetail2;謹賀新年&style;&br; &br; 謹んで新春のお慶びを申し上げます。&br;&br;ヴァナ・ディールは、本年をもちまして11周年を迎えることができました。&br;これもひとえに支えてくださった冒険者の皆様のおかげです。&br;&br;春には新たな冒険の舞台が幕を切って開かれますが、&br;我々、開発と運営は、もういちど原点に立ち戻り、&br;皆様が毎日訪れたいと思うヴァナ・ディールを築くため、&br;全身全霊をささげる所存です。&br;&br;本年もよろしくお願いいたします。&br;開発・運営一同。&br;&br; &image=im00;&br; &image=im00;&image=9726_0.png; Illustration : Mitsuhiro Arita&image=im00;&br; &image=hr02;&br; &li=ng01;年神詣で&li;&br; もちろん、リヴァイアサンだよ!&br;そう言ったのは自分ではなく、パーティを組んでいる仲間のひとりだ。&br;&br;白魔道士のあいつときたら、ニコニコしながら、「今年の年神はヘビだからね。伝説の海蛇として知られるリヴァイアサンならぴったりさ!」と続け、「だろ?」といたずらっぽく言い放った。&br;&br;その伝説は、ヴァナ・ディール トリビューンにも掲載されたことがある。&br;命を賭して部下を救った老提督ヴェーダルと、好敵手の汚名を晴らした大海蛇リヴァイアサン。後に、両名とも天に昇り、星座となったという。&br;クォン、ミンダルシアの両大陸に生きる者ならば、誰でも知っている話だ。&br;最近、何かと噂にのぼる西の国や、遠いひんがしの国ではどうだか知らないが……。&br;&br;しぶしぶとだが頷くしかなかった。&br;&br;確かにリヴァイアサンならば、年神に相応しい。&br;召喚士としては頷くしかない。&br;このところ、毎年のように年神にあたる獣が、まるで恒例行事のように大陸の各地を年初に練り歩くことが当たり前のように行われているけれど、今年は果たしてどうなるかと冒険者の間でも話題になっていたのだ。&br;ここで召喚士である自分がリヴァイアサンを呼び出し、年神を演出することができたならば、自分の腕前も冒険者たちの間にさぞかし広まることだろう。&br;&br;魅力的なアイデアだった。&br;&br;だが──。&br;一度、自分は失敗しているのだ……。&br;&br;「おまえは、前だってフェンリルを呼び出したことがあるって話じゃないか」&br;&br;白魔道士のあいつときたら、余計なことを言って思い出させてくれる。&br;&br;あれは……ひどい事故だった。事故だったと思う。&br;あの年のちょうど今頃。郊外でフェンリルを呼び出したら暴走してしまった。&br;仕方なく追いかけるはめになり。&br;その自分の追いかける様を見て、たまさか目にした冒険者たちも追いかけ始め、フェンリルがまたその年の年神と言っていい存在だったものだから、縁起が良いとか誰かが言い出し……。&br;思えば、《年神詣で》なんて言われて、練り歩く年神にわざわざ冒険者たちが会いに行く風潮が出来上がってきたのは、あの頃からのような……。&br;まさか自分がきっかけではあるまいな?&br;&br;「いよっ、年神使い!」&br;「妙な二つ名で呼ぶな!」&br;&br;あんな目には二度と遭いたくないのだ……。&br;&br;「できないのか?」&br;「できないとは言ってない」&br;「じゃ、やるんだね?」&br;「う……」&br;&br;にやりと笑みを浮かべたあいつに自分は意地を張ってしまった。&image=im00;&br; &image=hr03;&br; そして今──。&br;自分はまたも暴走した召喚獣を追って、こうして荒野を走っているというわけだ。&br;グスタベルグの灰色の大地の上を、リヴァイアサンが左右に身体を揺らしながら進んでゆく。海の大蛇のはずだが、神獣たる身には関係ないとばかりに、空を悠々と泳いでいる。&br;追いかける自分は、刻一刻と召喚したリヴァイアサンに気力を奪われつつあり……。&br;息が上がってしまい、目の前が暗くなってきた。&br;汗は止まらず喉もからからだ。&br;&br;付き合って──られるか!&br;&br;灰色の大地の上に大の字になってひっくり返った。&br;召喚獣を地上に顕現させるためには、大量の精神の力を必要とする。暴走した召喚獣は召喚士の気力を勝手に吸い取ってこの世界に留まっている。&br;自分の精神の力が尽きればアストラル界に還らざるを得ない。&br;ならば──放っておけ! もうやめだ!&br;空を泳ぐリヴァイアサンが止まった。&br;振り返り、二十歩ほど離れたところで横たわる自分を見下ろしている。&br;どうした。もうおしまいか。そんな目で見ている。&br;&br;勝手にしろっ。フェンリルといい、こいつといい。&br;──俺に何をさせたいんだよっ!&br;&br;「父ちゃん! すげえよっ。でっかいヘビだ!」&br;「ああ。これは縁起がいいな。ヘビは今年の年神様だからな」&br;「としがみさま?」&br;「そうだよ。拝んでおきな。良い福が授かるかもしれんぞ」&br;&br;声のほうに視線を投げる。&br;父と子の旅人のようだった。&br;大海蛇の蒼い色の鱗が、年の最初の光に照らされて輝いている。光り輝く神獣に向かって、まるで女神アルタナに祈るかのように父と子は頭を垂れていた。&br;&br;「父ちゃん、今年はいいことあるかな?」&br;「商売がうまくいけばな。確かにアドゥリンは遠く危険な地だが……ここでは手に入らないものが、あそこにはある……」&br;&br;父親が子どもに向かって言った。言われた意味がわからないらしく小首を傾げて息子が父を見上げる。その頭を大きな手が優しく撫でた。&br;&br;ここで、リヴァイアサンがぱっと消えたら……。&br;──縁起が悪い、とか思っちまうんだろうな。&br;&br;舌打ちひとつして立ち上がる。&br;気力を奮い立たせるべく甘い果実の絞り汁を携帯鞄から出して口に含んだ。&br;立ち上がった自分を見て、リヴァイアサンがふたたび泳ぎ始めた。&br;&br;旅の親子にささやかな守りの魔法をかけてから頭を振って弱気な思考を振り払う。&br;──ぜってー、捕まえてやる!&br;リヴァイアサンの後を追ってふたたび走り始めた。&br;&br;ちらりと振り返った大海蛇が僅かに微笑んだ気がした。&image=im00;&br; &image=hr03;&br; Story : Miyabi Hasegawa&image=im00;&br; &image=hr03;&br; &li=ng01;開催期間&li;&br; 本イベントは2013年1月1日(火)0:00頃より、1月10日(木)17:00頃までを予定しています。&image=im00;&br; "